6 実習 adコンバータを用いた計測
 物理領域におけるadコンバータを用いた計測
   物理領域では瞬間的で非周期的な現象がよく現れるが,これを市販の計測器で測定しようとす
 るとトリガ信号が検出できるシンクロスコープが必要となる。また現象を静止画像として再生す
 るにはさらにメモリがついたシンクロスコープが必要である。このようなシンクロスコープは非
 常に高価であり,生徒用の実験台数を揃えるのはとうてい不可能である。しかし,これを数千円
 の簡易adコンバータを使ってコンピュータに取り込むことで容易に実現させることができる。

実験1 音声の計測
準備  コンピュータ,a/d変換ボード(ltc1098),マイク,シールドケーブル付き変換
  コネクター,計測用プログラム,ドライバー
方法
  1  マイクの端子を変換コネクタに接続し,コネクタのケーブルの+端子と‐端子をa/d変換
  ボード(ltc1098)の+入力と仮グランドに接続する。
  2  マイクのスイッチをオンにして,計測用プログラムを起動させ,連続表示ありボタンを押す
  と画面に値が表示されることを確認する。
 3  可変抵抗器(200kΩ)のボリュームをドライバーで右に回して増幅し,値が100〜150程度に
  なるように調節する。過度に増幅しすぎると波形がゆがむので注意する。
  4  グラフ画面を表示した後,マイクに向かって声を出しながら,高速測定のボタンを押すと音
  声を取り込んだ後,グラフに音声の波形が表示される。
 5 下の波形が画面の下で切れる場合は上げ底の電圧を可変抵抗器(10kΩ)で大きくなるよう
   ボリュームをドライバーで右に回す。
結果と考察
  1  音声をいろいろと変えてみて(あいうえお,高い低い,大きい小さい),音声の波形の特徴
  を調べてみる中で,音の性質について定性的に調べる。 
  2  音について コンピュータを用いた効果的指導法について検討する。

     
                            図19 音声(あ)の波形


実験2 電磁誘導の観察
準備  コンピュータ,a/d変換ボード(ltc1098),コイル,棒磁石,シールド線2本,
  計測用プログラム,ドライバー
方法
  1  コイルの2つの端子とa/d変換ボード(ltc1098)の+入力と仮グランドをリード
  線でつなぐ。
 2  計測用プログラムを起動させ,連続表示ありボタンを押すと画面に値が表示されることを確
  認する。
 3  コイルに棒磁石を出し入れをして値が100〜150程度になるように可変抵抗器(200kΩ)のボリ
  ュームをドライバーで回して増幅,調節する。 
  4  グラフ画面を表示した後,測定時間間隔を50ms前後にして連続表示なしボタンを押し,グ
  ラフ画面上で右クリックすると値のグラフ表示が開始される。
 5  コイルに棒磁石を出し入れすると,リアルタイムに変化の様子がグラフ表示される。
 6 下の波形が画面の下で切れる場合は上げ底の電圧を可変抵抗器(10kΩ)で大きくなるよう
   ボリュームをドライバーで右に回す。
 7  グラフ画面上でさらに右クリックするとグラフ表示が停止する。
  8  グラフ画面上でダブルクリックすると新しいグラフ画面に切り替わる。
結果と考察
  1  コイルへの棒磁石の出し入れによって生じる電圧がどのように変化するか,検討する。
 2  電磁誘導の法則についてコンピュータによる指導方法を検討する。

        

                  図20  コイルから棒磁石を抜いたときの電圧変化


       次へ進む       前に戻る   理科におけるコンピュータの活用へ