3 無重力実験の結果および考察

  実験は落下実験装置に空気の流れの影響を小さくするためアクリル管やペットボトルを利用

した無重力実験容器の中で行う。バネにつるしたおもりの運動、ろうそくの燃焼における炎の

様子、鉄のおもりと木片の自由落下、沈降する液滴の運動、振り子の運動、砂時計の砂の運動、

落下する液体の液面のようす、噴水のようすなどを見るために、身近な材料で無重力実験容器

を製作し落下装置に取り付け実験を行った。

(1) バネにつるしたおもりの運動

  無重力状態の検証として基礎的な内容であるバネでつるしたおもりがどうなるか調べる。

 ゴム栓(4号)につけたバネ(長さ5p)におもり(25g)を下げて、アクリル管(長さ30p、

  内径1.7p )に入れ、他端もゴム栓をする。この実験装置を落下装置にゴムでくくりつけ、落

  下させと,落下中、バネが縮み、おもりが引き上げられる

   落下する物体は重さがなくなるが、バネの弾性力は重力に関係なく力を物体に及ぼしている

  ことがわかる。重力の働いている日常の環境では見られない現象を見ることができる点でよい。

  同じ質量のおもりを紙やひもでつるし,同じ長さの同様の実験装置を横にセットして比較して

  実験すると運動の原因が探究できる。







             図4 おもりの落下前(左)と落下中(右) 



(2) ろうそくの炎のようす

    無重力状態でのろうそくの炎の形の変化について調べる。

  アイスクリームの容器のふた(プラスチック、直径8.5p)の中央にくぎ(長さ3p)を刺し、

  ろうそくの燭台とする。ろうそく(長さ5cm、直径5mm)を立て、1.5gのペットボトルを

  半分に切ったものの下の方をふたとして使い、ビニルテープで燭台に仮どめする。ペットボトル

  の側面に黒い紙(18cm×18cm)をはり、落下装置に結びつけるための木の棒(1cm×1cm×33cm)

  を取りつける。

              

                 図5 ろうそくの炎の実験装置

          

    この実験装置を落下装置にゴムでくくりつけ、落下直前にろうそくに火をつけ、ビニルテープ

  でふたをとめて落下させた。

   図6のように一瞬、炎の先がやや丸くなった







           図6 落下前(左)と落下中(右)のろうそく



無重力状態では、空気の対流がほとんどなくなり、炎が丸くなる状態に近づくことがわかる。なぜ、

無重力になるとろうそくの炎が丸くなり、空気の対流が起こらなくなるのかということを考えさせる

とよい。課題は、無重力の時間が短く、完全密閉できないなどの原因により、完全な球形とはならない。

また、ペットボトルの中では約20秒しか炎がもたないので落下直前にろうそくに火をつけ、ふたをして

すぐに落下させなければならない難しさがある。



(3) 分銅と木片の落下

 重さの違う物体の静止の様子を調べる。 図7のように穴をあけたゴム栓にスポークを通してその

下にバネを,上に円形に切った金網を付ける。バネを縮めてフィルムケースで押さえ,鉛のおもりで

止めておく。落下装置全体が落下した瞬間におもりが重さを失うのでバネの力でフィルムケースのを

はずずように工夫した。下の支えを金網にして、支えが下に移動したときに吸い込んでしまう空気の

流れを極力少なくなるようにした。

 分銅と木片は、支えがなくなっても同じ場所にある。分銅と木片が浮いて、無重力状態が実現

していることがわかる。



                 

                    図7 底抜け容器





 

      図8 分銅と木片の落下前(左)と落下中(右)



参考

 板で台を作り,フィルムケースのふたに大小のビー玉をのせて落下と同時に板の底をゴムと

おもりを利用して抜いた結果を図9に示す。

  底がなくなってもビー玉はとどまる。





         







         図9 落下前(左)と落下中(右)の大小のビー玉





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