(4) 沈降する液滴の運動

    密度の違いを利用し、無重力下での密度の小さい液体中を沈降していく密度の大きい

   液滴の運動のようすを調べる。密度が違う二液が混ざった市販の室内装飾品を用いた。

   重力下では密度の大きい色のついた液体がいろいろな形・大きさをしながら密度の小さ

   い液体中を沈降していくのが見られる。

  

     



                 図10 密度の違う液体の沈降



    無重力状態では沈降が止まり,不規則な液体の形が円形に近づくのが観察される。

  重力下では小さく目立たない表面張力が無重力下では液滴の形を円形にするほど大き

  な役割をしている



(5) 落下運動中の振り子の運動

   振り子運動をしている物体を無重力状態に置いたときに、どのような運動をする

  か調べる。実際の振り子の場合、支点における摩擦力の影響が考えられるので、

  図11のように、ビーカーの中に鉄球を入れ、それを乳酸飲料の容器でおさえるように

  した。鉄球は自由に動けるようにし、落下実験のときには外部から振動を与え、鉄球

  に初速を与え、ビーカーの下部で鉄球が往復運動するようにしておいて落下させる。

                      



                  図11 振り子の運動



初速を十分に与えた実験を行った場合は、鉄球はガラスの壁に沿って一回転し、

  円運動を行った。無重力状態では物体は慣性によってその運動を続けようとする

  が、その運動の様子を観察するのには有効である。



(6) 砂時計の中の砂の運動

   閉鎖された中で落下している砂を無重力状態に置いたときどのような運動をするか

  調べる。市販の砂時計(1分計)を木の棒にくくりつけ、落下装置にセットし落下実

  験を行った。砂時計の砂の落下が止まった。と同時に上下の砂が図11のように、ガラ

  スの壁をつたって上に舞い上がるのが観察された。砂が落下をやめ、静止することに

  より無重力状態が確認できる。砂が舞い上がるのは、糸を切った瞬間の加速度による

  のか,砂とガラスの壁、砂同志の相互作用などによるのかはっきりとしない。



      図12 砂時計の落下前(左)と落下中(右)



(7) 密度の異なる2液の境界

   無重力状態下での密度の違う液体の境界の様子を調べる。

 試験管にバスクリーンで色をつけた水と灯油を入れて口をゴム栓で閉める。試験管の

  上端と下端をゴムで落下装置にくくりつけて固定し、落下させる。

 図13のように落下前の液面が落下中の無重力下ではガラスの壁にそってはいあがり液

  面が下向きに大きく湾曲する。

 (4)と同様に重力下では小さな表面張力が無重力下では大きくきいて、壁にそって

  液面をはいあがらせる。





         落下前の液体境界          落下中の液体境界



                      図13 密度の異なる2液の境界



(8) 水を吹き出している容器

    ペットボトルの下の方から水を流し,これが自由落下しているときの水の様子を調

   べる。ペットボトルの底の方に穴をあけてストローを差込み,水を入れる。ボトルの

   キャップをして,水が出ないようにして落下装置に取り付け,キャップをはずして水

   が出るようにしてから落下させる。はじめ,水は放物線を描いて噴き出していたが,

    落下装置が落下し始めると水は止まった。



   図14 落下前の放水と水が止まった落下中  



   水がペットボトルから吹き出しているのは,吹き出し口より上にある水の圧力によるか

 らで無重力状態になると圧力がなくなり水が出なくなることが確かめられ,水圧が重

 力によって生じていたことが確かめられる。



(8) 噴水の吹き上がり

   無重力状態下での噴水(水流の動き)を調べる。

 図15のように水の入ったペットボトルの口に二方活栓をつけたゴム栓をきつくさしこむ。

 ゴム栓からでた二方活栓の下端にビニルチューブをさしこみ、水の中に入れておく。空気

 入れで二方活栓のノズルから空気を入れて活栓をしめた後、落下装置にとりつける。落下

 させる直前に活栓を少しひねって水がノズルから吹き出し噴水になるように調整する。         



 

             

  図15 噴水の装置









                   図16 噴水の落下前(左)と落下中(右)の様子



 無重力状態下ではノズルから出た水は勢いよく上に上がり続け水柱ができる。無重力下

では物体は慣性によってその運動を続けようとする。その運動の様子は、上に吹き出た水

がさらに上がり続けて水柱を作るという興味ある現象となって観察される。ビデオでよく

みると外での実験のため風の影響で水柱が少し曲がっている。



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