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2015/12/01

サイエンスカー物語 ~第2話~

| by 田中@理セン

 昭和46(1971)年に理センに導入されたサイエンスカー初代「コメット」号による移動理科教室は、年間ほぼ10~15市町村の70~80校において開催され、へき地の理科教育の振興に大きな役割を果たしてきました。

 

 しかしながら、導入されて5、6年もすると、車体の老朽化が目立つとともに、当初搭載していた電子レンジなどの機器類は、一般家庭にも普及し始め、児童生徒の科学的欲求を満足するものとはいえない状況となり、サイエンスカーの更新が必要になってきました。

(北海道立理科教育センター要覧別冊「創立20周年記念誌」昭和58年1月発行より)

 

 サイエンスカーの更新費用を道費で検討したものの実現せず、当時の知事は財団法人日本宝くじ協会に要請しました。財団法人日本宝くじ協会から、この事業の意義や未来への科学教育への展望に対するご理解・ご配慮をいただき、2代目サイエンスカーが寄贈されることになりました。

 

 そしてついに、昭和54年10月9日、新しいサイエンスカー(二代目「コメット」号)が当センターに導入されました!

      初代「コメット」           二代目「コメット」

 

 違いがわかりますか?

 道庁赤レンガ前での贈呈式の様子です。

 
 贈呈式後、神社に行って交通安全祈願をした記録が残っています。

 

 二代目「コメット」号には、児童・生徒が楽しみながら体験的に物や人体のしくみについて理解し、科学する心を育てることができるように、次の10種の機器が備え付けられていました。

 ◇月面基地      ◇あなたの心臓は

 ◇音と声の波形    ◇太陽電池

 ◇バンデグラフ    ◇光の屈折と反射

 ◇誘導電流      ◇力と重さ

 ◇カラーテレビ電話  ◇カラー顕微鏡投影装置


 

 このようにして装いを新たにした二代目「コメット」号は、昭和54年の10月から巡回指導を開始しました。

 

 二代目「コメット」号を体験した子どもたちの感想文や先生方からのお礼状がたくさん届き、理センに大切に保管されています。

 

(感想文の一部)

 「サイエンスカーでいろいろな機械にさわりました。全部面白くて時間がすぐにたってしまいました。もう少し、機械をいじってみたかったです。一日いっぱい理科の勉強をしたのに、あきるどころか、もっとやりたい気持ちでした。」

 

 人気だった搭載機器は、低学年では、「カラーテレビ電話」、「あなたの心臓は」、「力と重さ」で、高学年では「月面基地」や「光の屈折と反射」だったようです。

 その他、サイエンスカー以外の指導内容にも工夫が施されたのがこの時期です。小・中学校の指導内容を体系化し、大きなテーマで構成し、児童・生徒の発達の段階に応じ低学年、中学年、高学年及び中学生向けに内容を区分したテキストが作成されました。

 子どもたちの感想文には、サイエンスカー以外の実験内容も多く書かれていました。

 

 さらに、

「実験も楽しかったけれど、理科センターの人と休み時間にバスケットをしたことが楽しかったです。」といった感想もあり、理セン職員自身も子どもたちとの時間を大切にしていた様子がわかります。

 

 こうして、二代目「コメット」号は、昭和54年から平成9年までの19年間に渡り、へき地の児童・生徒に科学の夢を運んでいたのです。

サイエンスカー「コメット号」の仕事

(理センパンフレット「移動理科教室のご案内」より)

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 科学の進歩は、ほんとうにすばらしいものがあります。人間が宇宙を旅行したり、世界のできごとをいながらにして見ることができるなど、目を見張るばかりです。

 しかし、これらのことは、決してたやすくできるようになったのではありません。科学者たちが多くの時間を費やし、観察や実験を積み重ねて実現したのです。私たちも自然をよく観察し、実験でたしかめたりして科学する心を豊かに育てましょう。そのお手伝いをするのが、サイエンスカー「コメット号」の仕事です。

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二代目サイエンスカー「コメット」

◆稼働期間  S54~H9(19年間)

◆巡回学校数 756校

◆対象児童生徒数 21,737名


                                            (第3話へつづく)
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