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2015/12/14

サイエンスカー物語 ~第3話~

| by 田中@理セン

 昭和54(1979)年に稼働を始めた、二代目サイエンスカー「コメット」号は、巡回訪問をした多くの学校から再度の訪問を希望されるなど、その意義を十分に果たしてきました。

 

 しかしながら、19年に及ぶ年月の経過による老朽化、また、21世紀に望む時代の要請から、その更新が急務となっていました。

 

 そのような中、平成10(1998)年、二代目サイエンスカーを寄贈していただいた「財団法人日本宝くじ協会」から、この事業の意義、さらには未来の科学教育への展望に対するご理解・ご配慮により、再び新たな「サイエンスカー」を北海道に寄贈していただくことになりました。

 

 新しいサイエンスカーは、バスの大型化が図られ、搭載機器も一新し、完全にリニューアルしたものが考案されました。そのイメージ図が理センに残っていました。新しいサイエンスカーにも様々なアイデアがあったようです。

  

      <外部と内部のデザイン(当時提案されたものの1つ)>  

 

 

 待ちに待った贈呈式は、平成10(1998)年6月3日に道庁赤れんが庁舎前庭で行われました。

  

 




 この贈呈式に至るまでには、もうひとつの物語がありました。

 それは、新しいサイエンスカーの愛称についてです。

 

 上の写真は、贈呈式前のサイエンスカーの写真で、まだ愛称がバスに印字されていない貴重な1枚です。

 

 

 当初は、上の資料のように「コメットⅢ」にする予定だったそうです。

 

 しかし、愛称を決める段階で、新サイエンスカーは見た目も搭載設備も一新されたことから、コメットの名前を引き継ぐよりも、子どもたちが夢や未来を描けるような愛称にしようと子どもたちの意見を取り入れて再び協議することになりました。

 

 その結果、「サイエンス・ラボ テラ21」に決定しました!

 他の候補として最終審査に残ったのは、「サイエンス・ラボ ドリーム21」、「サイエンス・ラボ ドリームスター」だったそうです。

 

 頭についている「サイエンス・ラボ」の名称は、従来の「サイエンスカー」(科学のバス)を、「サイエンス・ラボ」(科学の実験室)にすることで、体験を重視したイメージをより一層膨らませたとのことです。

 

 実際に搭載された実験機器もこれまでのボタン操作型から体験型へと変わりました。名前一つとっても、非常に奥が深く、ここにも当時の関係者の方々の思いがつまっています。

 

 

 そして、テラ21の相棒といえば、そう、「クワガタ号」です。

 18年前の写真が残っていました。

 

 今と何かが違う…?

  

     18年前                    今

 

 そうです。最初の頃は、座席の後ろ側についている燃料電池ユニットを搭載していませんでした。この18年の間に「クワガタ号」も進化? していたのですね!(触角?の色も微妙に変わっています!)

 

 ちなみに、「クワガタ号」も最初は名前がなく、「ソーラーカー」と呼ばれていましたが、子どもたちによって、「クワガタ号」と名付けられました。(名前の候補としては、「カプセル怪獣」、「クワッチ」、「ソーラークワタン」などがあったそうです!)

 サイエンス・ラボ テラ21の搭載機器については、以前の理センブログ「サイエンスカーラストラン」で紹介しましたが、実はこれも18年間で変わっています。導入当初に搭載されていて、今はないものを3つ紹介します。

 

 
   
「気象衛星画像受信装置」  「レーザー光線実験装置」「エネルギー学習パネル」

 「気象衛星画像受信装置」は、気象衛星「ひまわり」から出されている電波を直接受信し、リアルタイムの情報を得ることができる装置です。外にパラボラアンテナをセットして使っていたそうです。

 「レーザー光線実験装置」は、立体ホログラムや光通信などが体験できました。

 「エネルギー学習パネル」は、原油からプラスチックや医薬品ができるまでをパネル展示していました。

 

 

 三代目サイエンスカーでの移動理科教室は、贈呈式から20日後の平成10年6月23日、オホーツク管内(当時の網走管内)佐呂間町立若里小、仁倉小、知来小学校の合同学習を皮切りにスタートし、平成27年9月18日の上川管内美瑛町立美沢小、美進小学校の合同学習までの18年間に渡り実施されました。

 どこへ行ってもいつも温かく迎えて頂き、その度に、私たちは多くを学ばせて頂きました。

 

「サイエンス・ラボ テラ21」命名の由来

 

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 「テラ」は、ラテン語・フランス語で地球・土・大地を意味し、私たちの生活を育む豊かな自然環境であるとともに、宇宙を構成する緑豊かな星「地球」を意味する。また「21」は、21世紀を意味し、新世紀の北海道を担う子供たちが、サイエンス・ラボ(科学の実験室)で直接体験したことをもとに、地球的な広い視野で考え、生きてほしいという願いが込められています。

 さらに、「テラ」は数量を表す単位(10の12乗)として使われ、非常に大きなものを表現する時に用いられる。このイメージは、子供たちが持っている無限の可能性にも通じており、移動理科教室事業が子供たちの可能性を開花させるための動機付けになるという期待が込められています。

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三代目サイエンスカー「サイエンス・ラボ テラ21」

◆稼働期間    H10~H27(18年間)

◆巡回学校数   430校

◆対象児童生徒数 11,170名

  

                   (四代目はどうなる!? 次回いよいよ最終話

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