ビオトープをつくろう

ビオトープ(biotope、ドイツ語ではbiotop)とは

 「生命・生物」をあらわす
bioと場所をあらわす topを合わせた言葉で「生物の生息空間」を意味し、100年ほど前にドイツの生物学者ヘッケルによって提唱されました。

 
「生物の生息空間」ですから、かつてはさまざまな形の自然ビオトープがわが国にも多く存在して いたのです。しかし、産業の発展、経済の拡大とともに破壊され、今は消滅の危機に瀕しているところがほとんどです。市街地では都市化が進み、自然が比較的豊かに残っている地域でも、昔からの姿をそのままとどめている所は少なくなってきています。

 
そこで、平成11年6月北海道立理科教育センターの植物栽培園において池を中心としたビオトープを設置しました。北海道立理科教育センターにおいてビオトープを作った過程とその後のビオトープの変化についてお伝えします。

 作り方

1.ビオトープを作る
 5月27日 池を掘る
  
理科教育センターのビオトープは、3m×2mほどの大きさで最深部が50cmくらいで設計しました。
   これぐらいの大きさであれば大人5〜6名で2時間くらいで掘りあげることができます。

穴掘り
計測

 5月31日 ゴムシートをしき、土をはりつける
  
次に防水用ゴムシートをしきました。ゴムシートをしいた後、その上に土をはりつけました。
  この作業は大人5〜6名で2時間ほどで完了しました。
ゴムシートを貼る
土をかぶせる
 

 6月1日 水を入れる
   理科教育センターのビオトープの池は水道水を利用しました。 水の注入には30分くらいかかりました。
水の注入
水の注入終了

 

2.生き物を入れる
 ビオトープは生物の生態系に配慮した自然環境の復元を目指すものなので、札幌周辺で自生している在来種を選定して移植、移入しました。
@植物 次に示した植物を移植しました。
 
6月9日  クサヨシ,ガマ,ミヤマドジョウツナギ,アゼスゲ,ニリンソウ,ズダヤクシュ
        フキユキノ シタ,キンミズヒキ,オオタチツボスミレ,クルマバソウ,アキタブキ
 
6月10日  ミズヒキ,エゾキケマン,コンロンソウ
 
6月28日  エゾキスゲ,タチギボウシ,ヒメカワズスゲ,ミズバショウ,カラマツソウ
        ナガボノシロワレモコウ
A 動物 次に示した動物を移入しました
 
6月2日    ヒドラ,プラナリア
 
6月12日   エゾサンショウウオ,エゾアカガエル
 
6月13日   モノアラガイ,カワニナ,イバラトミヨ

 

3 ビオトープに見られた変化
  @ ビオトープにやってきた生き物たち
   確認した植物はツユクサ,イヌタデ,エノコログサ,ナズナ,セイヨウアブラナ,カタバミ,
  ヒメオドリコソウ,イヌホオズキ,ミゾソバ,エゾノギシギシで10種類以上にのぼりました。
   また確認できた動物はアメンボ,オドリバエ,トビケラの仲間,アトジロサビカミキリ,
  ゴマダラカミキリ,セスジユスリカ,ルリボシヤンマ,ゲンゴロウ,イトミミズ,カタツムリ,
  スズメ,カラスで10種類以上確認できました。
   
A 移植・移入した生き物たち
   移入した動物については非常に良い生育状況が確認できました。特に、エゾアカガエル、
  エゾサンショウウオの生育は良く、イバラトミヨは産卵し稚魚が確認できました。

 植栽した植物については、湿性の植物の成長が良く、ほとんどの種類が定着し、開花も見られました。それに対し、林床の植物は枯死したものが多く見られました。これは植栽した場所が砂地だったため、乾燥とやせた土壌に適応できなかったためと思われます。

 


みなさんもぜひ学校にビオトープをつくってみませんか。環境さえ出来上がれば、生き物たちは自然に集まってきます。毎日新しい発見と驚きを子どもたちと一緒に味わうことができますよ。

 

 


 
 
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      ricen-syoto@hokkaido-c.ed.jp