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お知らせ

軽石の水質浄化実験

札幌市立幌東中学校 高橋伸充教諭

目的 
軽石の水質の浄化能力を調べる。
準備 
軽石、ビーカー、ろうと、ろ紙、二方活栓、スタンド
方法
①底を切ったペットボトルの注ぎ口に脱脂綿を詰める。
②注ぎ口に二方活栓を取り付ける。
③ペットボトル内に100g程度の軽石を入れる。
④スタンドに固定する。
⑤活栓を閉じたまま、上から水(色つき水など)を注ぎ、しばらく放置する。
⑥透過した水をビーカーに集め、濁りをのぞくため、ろ過する。
⑦ろ液の色を比較する。
参考 
 方法②の二方活栓はゴム栓、ゴム管、ガラス管、ピンチコックで自作したものが使いやすい(図55)。


図55 実験装置
結果と考察
 今回の実験ではインクによって色を付けた水、液体のうがい薬を薄めたものを用いたが、いずれも色はかなり薄くなった。軽石は乳鉢にて軽く粉砕したものを使用する方がよい結果がでる。
青インク(図56),液体うがい薬(図57)を混ぜた色つき水と
軽石を通した水との比較。いずれも左側のビーカーが透過後のもの

■実験装置に色付き水を入れておく時間を、2分、4分、6分と変えて試したが、違いは感じられなかった。
■恵庭の降下軽石、厚真の降下軽石について、軽く粉砕したものを用いて、同じ条件で実験を行った。どの場合も支笏軽石流堆積物と同様の良好な結果を得た。
■火山灰(支笏軽石流堆積物 中ノ沢付近で採取)を用いた場合は、注いだ水が火山灰中にとどまり、ほとんど流れ落ちてこない。落ちてきた数mlの水は、細粒の火山灰でかなり濁っている。浄化能力はあると思われるが、短時間で結果を得たい実験には適さない。むしろ自然界の火山灰層中にもかなりの水を滞水していることの証明にもなった。
■炭を用いて同様の実験も試みた。炭の浄化能力にはかなわないが、軽石も条件を整えるとかなり浄化能力が高いことが判明した。
■軽石は、粉砕して細かくするとかなりの浄化能力があることがわかった。自然界では、降水やその他の水が火山灰や軽石、土壌によって浄化されていることが実感できると思われる。
■火山活動等により湖や海に軽石や火山灰が流れ込み、一見水が汚れたように思われる。実際に火山灰等により水中の生物が酸欠死したというニュースもある。しかし、長い目で見ると火山活動により水質がよくなり、逆に生物が繁栄できる条件が復興される。自然は実に無駄がないということがわかる。
■この実験で水を浄化したということは、軽石が汚れたということもいえる。自然界で軽石が汚れ続けたらどうなるかということを、生徒に考えさせることは環境教育にもつながると思われる。

 
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