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川原で化石を採取
−地域の形成史を考える−

北海道士別高等学校 教諭 岡本 研

 地域地質の教材化の一環として,学校の近くにある川原に出かけ,新生代新第三紀中新世の植物化石を採取・観察することによって,当時の環境を考えてみるという授業を実施した。

■場  所 士別市南士別町 剣淵川の川原(名越大橋下)
■授業名 地学ⅠA(3年文系選択)
■展  開
(1)自転車または徒歩で現地集合(徒歩約10分)
(2)川原に降りて簡単な説明
  ① 化石の見つかる範囲と行ってはいけない場所の指示
  ② 危険行為についての注意
  ③ 化石を見分けるコツ
(3)採取・観察開始(生徒一人一人に解説)
(4)集合・説明
  ①採取した化石を集め,全員で観察
  ②それぞれについての説明
(5)学校に戻る(主な化石は車で運ぶ)
(6)化石を乾燥させておき,次の授業で古環境を考察する
水が引くタイミングを見計らって出かける水が引くと川原はけっこう広い
水が多いとこうなってしまう生徒は楽しそう

生徒が採取した植物化石

■この河原で産出する植物化石について,次のようなことがわかった。

 □広葉樹の葉が最も多い
 □針葉樹が見あたらず,士別近辺よりも温暖な地域の樹木を思わせる
 □化石は白っぽい泥岩中にある
 □水辺に生える植物の茎も多い
 □炭化した樹幹も発見された
 □葉は他種類のものが折り重なっていることが多い
 □周囲には凝灰岩層がある
 □植物は現在見られるものとよく似ている

■これらのことから,次のような古環境が推定された。

 □この場所はかつての湖または川の氾濫原の三日月湖のようなところだった。
 □火山活動のあった時期の堆積物である。
 □気候は現在の士別よりもやや温暖であった。
 □湖の周囲には広葉樹の森林があった。
 □時代はそう古くなく,新生代のものである(実際は新第三紀中新世)。

 地層や岩石は我々に過去の地球の出来事を伝えてくれるが,特に化石についての観察については,高校生でもある程度過去の出来事を読みとることができる。幸いにして士別高校の近くにはこうした場所があるが,近くにない場合は教師が採取してきた化石と,周囲の写真を見せるだけでも十分である。


 
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